「入管政策についての一考察」とは

 

行政書士の三觜彩矢です。外国人従業員のビザに関するご相談や、会社設立(内国法人設立)及びビザ取得、転職者の受入についてのご相談をいただく機会が多々ございます。そのため、日本の入管政策どうなっているのか、今後どのような方向にむかっていくのか、に関心が向きます。外国人の受入(出入国管理政策)には、日本国の政策のみならず、世界情勢が関与します。一国民としての関心もありますが、クライアントへの対応、サービス提供といった面で、私どもの業務と直結していることを実感しています。具体的に言えば、政策が法律となり、入管法改正がなされ、それに従って我々のクライアントである外国人の在留審査が行われています。

出入国管理政策

法務省や内閣府などの政策関係のホームページをみると、出入国管理政策についての報告書などを閲覧することができます。経済活性化のための外国人の受入、人口減少社会における外国人受入検討、留学生の受入推進、観光立国の実現、技能実習制度の見直し、不法滞在者対策、難民認定制度の検討など・・・様々な課題が挙げられています。今年の11月に施行されたものについても、過去の報告書に検討事項として記載されています。着々と、政策は制度になり、実現に向けて動いていることがうかがえます。

受け入れたい人材と現実問題

日本政府には、「日本に有益となる外国人の受入は積極的にしよう」という方針があります。日本の経済発展に寄与する能力あり、稼げる優秀な人は日本国としては歓迎し、優遇するということです。
これを実行するために、作られたのが「高度人材ポイント制」で制度を導入した当初は「特定活動」という在留資格を付与されていました。

この特定活動のひとつであった高度人材は、平成27年4月から、「高度専門職」という在留資格になりました。学歴、職歴、年収、現在の仕事など様々な条件を点数制で評価し、ポイント70点以上の場合には取得可能です。しかしながら現実問題、高度な人達だけで日本社会が成り立っているわけではありません。外国人も高度な人だけ呼びたいといっても、日本で働きたい、日本で生活したいと思っている外国人は別であることが往々にしてあるのです。また、日本企業においても、現場で働く人材がほしいという声が多数あります。労働人口減少により、飲食店、コンビニ、工場、建設現場など、様々な現場で労働力がすでに不足しています。しかしながら、就労ビザとよばれる働くための在留資格には、これらの現場での活動をもっぱらすることができるものは現状では用意されておりません。そのため留学生アルバイトを多用したり、技能実習制度を使って期限付きでの受入を行ったり、脱法的な虚偽の申請をしてビザ取得を試みる外国人が年間1万人超えという現実があります。日本政府は、「高度でない(専門性の高くない)、外国人労働者の受入については慎重に検討する。」というスタンスをとっており、ここは賛成・反対と意見が分かれているため、簡単には法改正が進みません。

このような背景の中、人材不足が深刻となることが予測される業種に関しては、法整備が始まっています。特定業種での従業員受入についての制度の設置、技能実習制度の改正(最長年数3年から5年へ)、在留資格「介護」の新設などです。本音と建前を感じる制度趣旨や度重なる改正に向き合い、クライアント様の要望にお応えできるように日々勉強しております。最後までご覧いただきありがとうございました!

「特定活動」ビザについての豆知識

28種類ある在留資格(ビザ)のうちの1つですが、このビザは『法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動』となっており、その中身は告示によって定められています。他の在留資格には当てはまらない、その他の活動のためのビザというイメージです。ちなみに、不許可の場合の出国準備や、難民申請中に付与されるのも特定活動になります。

三觜彩矢のブログ「彩通信」 (こちらの専門ページへ https://aya-m.jp/) もぜひご覧ください!

 

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